須賀敦子全集 第2巻

須賀敦子全集 第2巻
須賀敦子全集 第2巻
河出文庫


この間読んで、ものすごく良かった須賀敦子全集の
2巻目を買いました。

1巻目は主にイタリアの友人のエピソードだったのですが
2巻目は、日本の家族・イタリア人の夫の家族のエピソードが主です。

エッセイ集、というにはこってりとしすぎていて
小説、というにはリアルすぎる不思議な作品群。

2巻目もとっても面白かったんだけど…

この人の本の魅力は、異郷の自分を描いたとこにあると思うんですよね。
日本に生まれたのに、自分がイタリア人であることを発見して
イタリア人として生まれなおしたその過程を描いたところがすごくいい。
1巻目はそんなお話でした。

でもやっぱり家族のことを書くとなると
とたんにドメスティックになるというか、
浪花節っぽくなるっていうか。
ちょっと魅力が半減しちゃうんだよなぁ

おもしろい、おもしろいんだけど、
1巻が100点満点で1000点とするならば
2巻は90点くらい、ってかんじ。


一箇所、とっても感動したところ

書店勤務の夫が、
敦子にナタリア・ギンズブルクという作家の本を買ってくる場面
のちに敦子はこの作家の本を和訳するほどに
入れ込むことになるのですが


「しがみつくようにして私がナタリアの本を読んでいるのを見て、
夫は笑った。わかってたよ。彼はいった。
書店にこの本が配達されたとき、ぱらぱらとページをめくってすぐに、
これはきみの本だって思った。」

すごい、すごい殺し文句。
「これはきみの本」
本を通じて、愛情があふれ出してる感じ。
古今東西の本好きへの殺し文句ベスト2に認定です!


ちなみにベスト1は中島らも「水に似た感情」の

「今度来るとき本を買ってきてくれ」
「ここにも本屋さんはあるじゃない」
「君のフィルターを通した本を読みたいんだ」

コレです。

テーマ : 読書 - ジャンル : 小説・文学

ライオンハート

ライオンハート (新潮文庫) ライオンハート (新潮文庫)
恩田 陸 (2004/01)
新潮社

<あらすじ>
5編のオムニバス形式の物語。
17世紀のロンドンで、19世紀のシェルブールで、
20世紀のパナマで、オックスフォードで、
時を越え姿を変え繰り返し出会う恋人達のお話。
逢瀬はいつも一瞬で、結ばれることはない運命だけれど

「いつもあなたを見つける度に、あなたに会えて良かったと思うの。
 会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ」

-----

ヤンさんが「恩田作品にハズレなし」って言ってたけど
恩田作品読書二作目にして、確かにそうだなと感じました。

作家って芸術家肌と職人肌がある、と思うけれど
恩田陸は間違いなく後者。
丁寧に、確実に、隙なく物語を書いている、って感じ。

後世に名を残す大作を書くわけじゃないけど
「ねえ、この本、ちょっといいのよ」
なーんて、口コミで広がっていくような作家さんだなぁ、と。

オムニバス形式が上手いところとか
ちょっとよしながふみを思い起こさせる。

そして、本職はミステリの人なのだろうか?
こんなロマンティックな作品でも
どこかミステリマインドを感じさせる書き方だ。

4冊ほど

最近読んだ本をガッと

旅に出ても古書店めぐり 旅に出ても古書店めぐり
ローレンス ゴールドストーン、ナンシー ゴールドストーン 他 (2001/02)
早川書房

続編は面白くない、の法則がココにも。

夫婦がどの本を買って、手に入れたいきさつはこうで、
その本はどういう思い入れがあって、
とかそういうエピソードが好きだったのに。
なんか文学ムーブメント解説本みたいになっちゃってる…

ヴァージニア・ウルフ一派が男女見境なしの
ヤリヤリ一派だったってのは初めて知ったが。

本棚探偵の回想 本棚探偵の回想
喜国 雅彦 (2004/09)
双葉社

続編h(略
立派なハードカバー。三回振らないと中身が落ちてこない函
いや、面白いんだけど、この内容は文庫で読むからイイんだな、と思った。
内容もちょっとパワーダウンかも…このテの本で
「買いたい本がない」
とか言っちゃダメでしょー、って。


オーケストラの職人たち (文春文庫) オーケストラの職人たち (文春文庫)
岩城 宏之 (2005/02)
文藝春秋

オーケストラの知られざる裏方さんを紹介する本。
ハープ専門運送業や楽譜清書業があるなんて知らなかった。
実に興味深く読みました。

多分誰もが思うこと:この作者、ハイパーウルトラ文章が下手だあ!

口述筆記してんのか?ってくらい同じ事が何回も出てきたり。
でも多分原稿用紙に万年筆で書かれてるんでしょうけど。
本気で悪文だけど、不思議なことにこの作者の場合
それが魅力になってます。
アレだ、飲み屋でオヤジがバカ話してるのに似てるかもしれない。


ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫) ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
伊丹 十三 (2005/03)
新潮社

伊丹十三が若かりし頃にヨーロッパで映画俳優をしていた体験エッセイ。
スノッブってこのことね、ってくらい青臭い本。
「中流意識」をまー攻撃すること攻撃すること

いや、そりゃわたしだって海外でパスタを
ズズズzと食べてる人を見たら「うわぁ」って思うけどー

真の心の貴族は、中流な人を攻撃なんざーしないと思うんだが、どうか。
同じ頃に単身ヨーロッパ入りした日本人の若者に小澤征爾がいますが
彼のヨーロッパ日記「ボクの音楽武者修行」のがわたしはずっと好きだ。

でも悔しいことに伊丹さんは文章本当に上手いんだよな

フラワーオブライフ(2)

フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics) フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics)
よしなが ふみ (2005/05/25)
新書館

オムニバスものを描かせたら世界一!の
よしながふみ先生の最新刊。

よしながふみ先生の魅力は、
絵だけで人の心の動きを描ききるとこにあると思うんですけどー
この作品は珍しくセリフ多め。
でも面白いなー!ハチクロとはまた違った方向の
「こんな学園生活アリエナイ。でもどこかにありそうで羨ましい」
って感じが。

ところでこの作品の中に
男の夢ランキングってのが出てきたんですがー

1位 女に「このメス豚が!」と罵る
2位 女に「この売女が!」と罵る
3位 女に「この淫売が!」と罵る

本当かい(´_ゝ`)ォィ

--------
ところで今日は「メス豚」って単語に縁がある日でしたー
某さんと話してたら

「男の人がまじめにアンジェリークをするスレのまとめページが面白いんだけど
 主人公のなまえがメス豚だった」
(注:アンジェリーク=心が乙女な人を対象にした恋愛ゲーム。
 登場人物のセリフがことごとくクサイ)

…URL教えて貰って見に行ってみた
http://vipgamer.hp.infoseek.co.jp/

どうしよう「ロマンチックウェーブ」で大爆笑してしまった!
メス豚ひどいな!
でもどうしよう笑いがとまらないー

くっすん大黒

くっすん大黒 (文春文庫) くっすん大黒 (文春文庫)
町田 康 (2002/05)
文藝春秋

わたしは読書が好きで好きで仕方なくて
本がないと生きていけない人間だ。
でもそんな読書ジャンキーなわたしにも本に対する偏見があって

「芥川賞作家の小説はツマンネー」

コレ。

そもそも芥川賞作家の作品なんて
庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」(ものすごく面白かった)や
宇能鴻一郎センセ(すごいんです)くらいしか読んだことないんだがー
この根深い偏見はどこから来ているんだろう?


それはさておき、芥川賞作家・町田マチゾーの処女作です。
この本には表題作と「河原のアパラ」という短編二編が入っています。
内容は二作ともほぼ同じ

ダメな男が ダメな友人と ダメな旅をして
ダメな人々に会って ダメなオバはんに敗北して
唐突にお話はオシマイ

こう書くとどーしようもなくつまんなく悲惨な
ダメ小説っぽく聞こえるかもしれないけれど

面白いんだよ!!!

パンクロッカーの面目躍如とでもいうべきビートな文体とか。
お金持ってないのに「なんとかなるべ」って感じのゆらゆらさ加減とか。
出てくる人物のダメさ加減の描写とか。
チャアミイすげー!こんなヤツいないよ!
古今東西の小説に出てくる女性のなかでも、クイーンオブダメ女ではないだろうか…

次は「パンク侍、斬られて候」(どうも時代物らしい…)
を読もうと思いました!


どうでもいいこと:
マチゾーはパンツのことを「猿股」って呼ぶんですが
非常に気になりました。サルマタ…